- 2010年09月16日 (木)
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Flash to HTML5 変換サービス「FL2HTML5(仮)」の雑感
今日はFlashの界隈では大きなニュースが立て続けにリリースされました。Internet Explore 9 betaとFlash Player 64bit版「Square」はぜひチェックしておきたいところですが、さらに嬉しいニュースがありました。それはCLOQUE.から発表された FlashをHTML5に変換するサービス「FL2HTML5(仮)」です。
公式の発表
ニュース記事
Twitterやはてブでもバズっているのですが勘違いする人もでてくるかと思いますので、技術的な視点から雑感をまとめてみました。
Progressionとは
このブログの読者であれば説明する必要もないと思いますが、改めて紹介。Progressionは国産のFlashフレームワークであり、国内の広告向けFlashサイトではデファクトスタンダードとして2000件を超える多くのサイトで採用されています(採用数はgihyo.jpより引用:カウントされているものだけなので本当はもっと多いはず)。
FL2HTML5(仮)とは
Progressionで開発したFlashコンテンツから、シーンやボタン、テキストといった要素をHTMLに変換するサービスです。プレリリースの動画で紹介されていますが、iPadなどFlashが再生できないデバイスでも見れるようになります。本技術を使用した変換サービスなどは,10月中を目標としてリリース予定とのことです。
SEO効果について
HTMLに変換されるということは、Flash内のテキストもHTMLのタグに変換されるということを示しています。つまりFlashではインデックスされない(されにくい)テキストの情報をHTMLタグとして用意することができるので、Googleなどで検索できるようになりSEOの効果として期待できます。
このサービスの利用用途としては、Flashサイト代替コンテンツの作成が主になるかと思います。FlashサイトのHTML代替コンテンツを提供することは昔から行われていましたが、それは手動で作るものでした。FL2HTML5を使うことで、その作業がまるまる自動化されるものと考えられます。
ディープリンク
変換されたHTML5はインタラクティブコンテンツになりますが、ページ内URL(通称:ディープリンク)も生成されます。Progressionで作成したFlashコンテンツもディープリンクを持ちますが、ディープリンクは Flash 版と HTML5 版で互換性があるということです。
同期が取れることにより、ツイッターで興味深い発言があったので紹介します。
演出やエフェクト
今のところの情報ではハッキリしませんが、Flashの演出がそのままHTML5+JavaScriptに変換されるというものではなさそうです。
つまりGigaGineの記事の末尾で紹介されている「ありとあらゆるFlashサイトを変換できるというわけではないようですが、将来的にはなんとかして欲しいところ」というのは対応されないはずです。Flashは自由度が高いので開発者によって作り方も様々ですし、全てを同じように変換できるというのはローレベルから対応しない限り極めて困難です。ですが、ProgressionでFlashサイトを開発すると「シーン」がルールに従って情報として構築されます。これがHTMLと親和性が高いために可能となった技術と私は見ています。
ただProgressionにはコンポーネントなどでトランジションエフェクトが用意されているので、それで演出を作っている場合にはjQueryなどでHTML+JavaScriptの演出に変換できるかもしれません(公式で対応されるかは不明ですが、技術的には可能かと)。それ以外の自前で作った演出を、Flashと同じレベルで再現したい場合は、変換後にJavaScriptなどで自分で作る必要があると思います。
プレリリースを見る限り、サイトの「情報」をFlashからHTMLへ変換するサービスとして割り切っているので、その点で採用しやすいと思いました。
※グラフィックに関してはFlash→Canvasへの変換はAdobeが開発しているはずで、FL2HTML5は情報と見栄えの変換にウェイトをおいている気がします。
まとめ
- Flash代替コンテンツの制作がすぐに出来るようになる
- SEO効果も期待できる
- iPad/iPhoneなどFlash未対応のデバイスでも「情報」を提供できる
今のうちからProgressionを使っておくと、将来幸せになれるかもですね!
追記
wonderfl,jsdo.it Meetup の場に開発者のniumさんが飛び入りでやってきたので、このサービスで変換されたHTML5のサイトを実際に見ることができました。精度は非常に高く、Flashサイトのデザインが忠実に変換されていました。これは間違いなく期待できます。
投稿者 : 池田 泰延
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